読書

小林龍生 「ユニコード戦記」

木田康夫さんのtweetにそそられて購入した本書。貴重な体験を記した良書だと思うが3千円弱はちょっと高いかなと思う。 ユニコードの標準化の中で議論された具体的な問題を通じてそもそも文字符号の国際標準化というのはどういうことなのかが少し分かった。…

平川秀幸 「科学は誰のものか」

遺伝子組み換え、再生医療、原発のような不確定要素が多く社会への影響も大きい科学技術と社会はどのように関わっていけばよいのかというテーマの著書。 複雑化した科学技術の影響は明確に白黒つけられるものではなくあくまでもグラデーション的なものなので…

江副浩正 「リクルート事件・江副浩正の真実」

江副さんの著書はリクルートのDNAを以前読んだが、リクルート事件については詳しいことはよく知らなかったので本書を読んでみた。 内容がかなり詳細なので正直読んでいて追いかけるのに疲れる部分もあったが、詳細な事実の記録という意味では価値がある一冊…

橋爪大三郎, 大澤真幸 「ふしぎなキリスト教」

父親に勧められて読んでみた本書。以前からもう少しちゃんと理解しようと思っていたキリスト教について橋爪先生が語っているので読んでみた価値はあったと思う。けっこう理解も深まった。 ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という一神教の考え方や関係からキ…

大野更紗 「困ってるひと」

先日のマル激を見てとりあず著書を買ってみた。これまであまり’読んだことの無い類の本だったが、凄まじい経験を綴る明るい文系女子っぽいノリが良かった。 凄まじさでは及ばないが、自分の経験をちょこちょこ思い出させる内容もあり若干懐かしく思いつつ一…

山本七平 「空気の研究」

宮台真司がよく引用しているので読んでみた。 最近はよく言われるようになった、日本で物事を動かす際に最も影響している「空気」に関する研究の原著。負けると分かっていた戦争を止められなかった理由と言われ、一度醸成されてしまうと論理的な議論を封殺し…

古賀茂明 「日本中枢の崩壊」

少し遅くなったが、話題の古賀さんの著書なので読んでみた。 現職の経産省官僚の古賀さんらしい非常に具体的で実務的な内容だったと思う。日本中枢がどのような仕組みで動いているかがけっこう分かった。 リアルな現状分析に基づいた具体的な提案がなされて…

野口悠紀雄「経済危機のルーツ」

以前「世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか」を買ったときに一緒に買った本だがなかなか読む機会がなかったので時間があるうちに読んでおこうと思い読んでみた。 本書のテーマは2008年からの金融危機を発端とする経済危機なのでやや…

John von Neuman "The Computer and the Brain"

ノイマンに興味がありコンピュータと脳をテーマにした本書見つけたのでとりあえず買ってみた。 内容はPart 1でコンピュータの話、Part 2で脳の話という感じで本当にタイトルのままという感じだったが、実はコンピュータと脳の各々の話ではなくもっと個々を比…

苫米地英人 「利権の亡者を黙らせろ」

魔女の鉄槌が中世における印刷の発明を契機とした社会変化と現在のソーシャルメディアによる情報の流れの変化による社会変化の対比という割と大きな話だったのに対して、本書は3.11をきっかけに日本を中心として起こっている世界の流れの裏側のような話だっ…

苫米地英人「魔女の鉄槌」

久しぶりに雰囲気が違うのが出たので読んでみた苫米地さんの本。中身も全体的にかなり刷新されていた印象だったので読む価値はあったと思う。 本書のメインストーリーは、中世にてグーテンベルグの印刷の発明が情報の伝達を可能にし起こった情報革命による社…

有馬哲夫 「原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史」

正力松太郎を中心に原発を日本に導入した昭和史をCIAの機密文書を基に明らかにするという興味深い内容に惹かれて購入した本書。 タイトルからはもっとドロドロした内容というか衝撃の内容を想像していたが、本書は割と文書からわかる事実を刻々と綴っている…

中村成洋, 相川光, 竹内郁雄「ガベージコレクションのアルゴリズムと実装」

GCについてそのうち勉強しようと思ってだいぶ前に買っておいた本書をやっと読み終えた。 タイトル通りにGCの一般的な話からアルゴリズムの詳細と実装までがけっこうしっかり書いてあるので本書の’内容を理解すればGCについてはそれなりのバックグラウンドが…

"Enchantment" by Guy Kawasaki

どこからともなくGuy Kawasakiの新書の話を聞き、Twitterでfollowしたりしてたら何となく面白そうかなと思って買ってみた。そんなに濃い内容の本ではないが、コンセプトは面白いかなと思った。要するにどうやって人の心を動かすかというような話。 例えば、…

宮台真司、飯田哲也 「原発社会からの離脱」

宮台さんと飯田さんの共著ということでさっそく購入し読了した。 原発を取り巻く社会構造が日本の社会問題そのものであることが良く分かった。 特に興味深かったのは飯田さんの生い立ちを含めたバックグラウンドの話。 飯田さんの議論を聞いていて特に尊敬す…

神保哲生, 宮台真司, 小出裕章, 河野太郎, 飯田哲也, 片田敏孝, 立石雅昭「地震と原発 今からの危機」

3.11以降にビデオニュースで特集してきたものを編集し加筆した本。ビデオニュースは毎週見ているので内容的には一度見て理解したものだが、とりあえず買ってみた。基本的にはプロローグとエピローグだけ立ち読みすれば良かった気もするが、内容的には良質な…

山本七平、小室直樹「日本教の社会学」

小室直樹の本を読もうと思いとりあえず手に入った本書を読了。 本書を購入した動機は小室直樹に対する興味からだったが、共著者の山本七平も面白いこと言ってるなと思い著作を数冊購入したのでそのうち読もうと思う。 けっこう古い著作にも関わらず内容は全…

"The Facebook Effect: The Inside Story of the Company That Is Connecting the World" by David Kirkpatrick

Facebookの誕生から現在に至るまでを描いた本。映画のSocial Networkは内容的には面白かったがどこまで本当か良く分からなかったのでネット上で評判だった本書を読んでみた。 一つ思ったのは、一番難しいのはこれまで世の中に無いものをどうやって一般に受け…

"Java Concurrency in Practice" by Brian Goetz, Tim Peierls, Joshua Bloch, Joseph Bowbeer, David Holmes, Doug Lea

半年以上前に買っておきながらなかなか進まなかったのをここ数週間でドドっと読み切った。 マルチスレッドプログラミング一般の基礎からJavaでの実用および応用までしっかりと書かれているのでかなり勉強になった。今後もリファレンスとして使えると思う。た…

Bill Karwin "SQL Antipatterns"

RDB関係のプラクティカルなことが書いてある本をAmazon.comで探していて、本書のレビューの評判が良かったので読んでみた。 結果は当たりでけっこう勉強になり読む価値があったと思う。RDBのunder the hoodの仕組みは割と良く知っていてもそれを実際にうまく…

遠藤周作 「沈黙」

海と毒薬に続き遠藤周作の著書2冊目。 正直読んでいるときはそれが何を意味するのかがよく分からずあまり楽しめなかったが、解説を読むと本書が何をテーマにしているかが分かった。 要するに、キリスト教徒は常に神を意識し、神は常に自分を見てくれていると…

渡辺靖 「アメリカン・デモクラシーの逆説」

マル激での話が面白かったので著書を読んでみた。 アメリカの現状を的確に分析している良書だと思う。右・左、保守・リベラルといった特定の立場から一方的に議論を展開するわけではなく、各々の立場を客観的に分析し、適切に背景を紹介しているので非常にし…

遠藤周作 「海と毒薬」

前からちょっと興味を持っていた遠藤周作の小説を読んでみた。 なかなか面白かったと思うが、わりとリアルにきわどいことが書いてあるので食事中に読むにはあまり向かない気もした。読んでいるときは特に何も考えずに読んでいたが、巻末の解説を読むとなるほ…

辻野晃一郎 「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」

本屋さんで見つけてチラ見後買ってみた。読んでいてけっこう面白かったので数日で一気に読んでしまった。タイトルは↑のようになっているが、特に内容とは深い関係がないように思った。とりあえず誰かが売れそうなタイトルにしたのかなという印象。 全体的に…

スティーヴン・ホーキング, レナード・ムロディナウ 「ホーキング、宇宙と人間を語る」

以前読んだホーキング、宇宙のすべてを語るに比べると、大分成長した印象(というと偉そうだが。。)。前書ではこのブログにも書いたように、「神が」的な書き方が多くていまいちな印象だったが、本書では神はいなくても宇宙は存在しうるという立場が明確にな…

福岡伸一 「ルリボシカミキリの青」

福岡先生の本は読んでて楽しいのでとりあえず見かけた本を買ってみた。 これまでも福岡先生の本は何冊か読んだことがあったので特に新しいことはなかったが、生命における動的平衡的な考え方には改めて感心する。 一つ面白いなと思ったのは、ハチミツの話。…

高橋昌一郎「知性の限界」

高橋昌一郎の論理学本3冊目。他の2冊にはなかったヴィトゲンシュタインの話が載っていたのは良かったかなと思う。ヴィトゲンシュタインは名前は聞くけどどういう思想のは人かはよく知らなかったが、哲学の問題を言語の問題と考えた人だと言うことが分かった・…

野口悠紀雄 「世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか」

マル激でゲストとして話していたことが面白そうだったので読んでみた。 とりあえず、日本は相変わらず色々ダメなのは分かった。それで、大事なのは産業構造改革。だけど、これの抵抗勢力は国民自身だからしばらく手をつけられるような政治情勢にはならないだ…

高橋昌一郎 「理性の限界」

高橋昌一郎の不完全性理論本2冊目。 主な内容的にはゲーデルの哲学と変わらないが、議論がシンポジウムの会話形式で進んでいくので、大分読みやすかった。 いろいろな角度から例を出しているのもわかりやすくて良かったかな。

Callum Henderson,Cal Henderson 「Building Scalable Web Sites」

Peteris Kruminsのブログに載っていたのがきっかけで、ScalableなWebsiteのアーキテクチャを学ぶのもいーかなと思い買ってみた。 本書に載っている話は割と一般的な内容だったので、期待していた専門的な話を学べなかったのはちょっと残念。 HTTPSがHTTPの十…