苫米地英人 「利権の亡者を黙らせろ」




魔女の鉄槌が中世における印刷の発明を契機とした社会変化と現在のソーシャルメディアによる情報の流れの変化による社会変化の対比という割と大きな話だったのに対して、本書は3.11をきっかけに日本を中心として起こっている世界の流れの裏側のような話だったので割と軽めの内容だったが、けっこう面白い話が書いてあった。


前半の方は原発関連の話が多かったので真新しさは少なかったが、苫米地さんの解説が知れて良かったと思う。特に興味深かったのは中盤のこれからの時代におけるソーシャルメディアの戦略的利用というアメリカの新戦略について。中東において革命を煽動したとされるGoogle幹部の写真等も載っていて興味深かった。例えばDARPAは現在Social Media in Strategic Communicationという研究に$42Mの予算をつけて募集している。そしてGoogleFacebookTwitterなどの情報戦略の要となる企業に対して強い影響力を持っているのはウォール街。そういったリアルな世界の力学については他ではあまり知ることができない内容が書いてあったと思う。そして後半はそのような状況を踏まえて日本がこれから築くべきアメリカとの戦略的な関係とそれを利用して達成すべき日本の革命について。特に最後の項に書かれていた祖父の苫米地英俊氏が85年前に記した論文を紹介した上での議論はなかなか興味深い内容だったと思う。