渡辺靖 「アメリカン・デモクラシーの逆説」




マル激での話が面白かったので著書を読んでみた。


アメリカの現状を的確に分析している良書だと思う。右・左、保守・リベラルといった特定の立場から一方的に議論を展開するわけではなく、各々の立場を客観的に分析し、適切に背景を紹介しているので非常にしっくりくる。


例えば、ゲーテッド・コミュニティの項で紹介されているオレンジカウンティの高級住宅街の現状については、以前オレンジカウンティに住んでいた経験から非常に興味深かった。外から見ているときは、富裕層が丘の上から太平洋の絶景を楽しむために作られたluxuriousな住宅地という浅い印象しか持っていなかったが、コミュニティのカルチャーや運営形態、そこで暮らす子供への影響など、コミュニティ内の社会について少し考えを深めるとまた違った視点で見れるようになる。


あとがきで紹介されているJimmy TingleのHarvardでのCommencement Speechもなかなか面白かった。