遠藤周作 「沈黙」




海と毒薬に続き遠藤周作の著書2冊目。


正直読んでいるときはそれが何を意味するのかがよく分からずあまり楽しめなかったが、解説を読むと本書が何をテーマにしているかが分かった。


要するに、キリスト教徒は常に神を意識し、神は常に自分を見てくれているという前提で生きているので、現実の世界で苦難に合ったとときも強く倫理的に行動できるというのが一般的な理解だと思うが、本書ではパードレが度重なる迫害、拷問、裏切りなどにより気力・体力の限界を超えているにも関わらず、何故神は手を差し伸べていくれないのか、何故「沈黙」しているのか、本当に神は自分を見てくれているか、というキリスト教の根源的なテーマを描いているらしい。


自分はキリスト教徒ではないし、そもそも神は存在しない、少なくとも自分の理解できる形での神という存在はあり得ないという不完全性理論的な考えに共感している。従って、このテーマは自分にとっては自明だが、多くの人が神を信じることに意義を見いだしているという事実には興味があるので引き続き勉強したいと思う。