有馬哲夫 「原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史」




正力松太郎を中心に原発を日本に導入した昭和史をCIAの機密文書を基に明らかにするという興味深い内容に惹かれて購入した本書。


タイトルからはもっとドロドロした内容というか衝撃の内容を想像していたが、本書は割と文書からわかる事実を刻々と綴っているという印象。原発の導入に関する隠された事実を明らかにするというよりは、読売新聞や日本テレビの立ち上げから日本での存在感を強めて行く経緯のような部分の方が興味深かったように思う。


印象に残ったのは、アメリカがCIAを通じて日本社会に具体的に影響を行使する様子。ディズニーを通じて映画やアニメ、テーマパークのような形でソフトに人々の意識に印象を植え付ける様は非常に具体的で興味深かった。そこに正力のようなメディア人・政治家が関わりながら戦後の日本が形作られてきた過程が良く描かれていたように思う。そういう意味では本書は最近流行りの原発関連本としてではなく昭和史的な本として読んだ方が良いと思う。


とりあえず手元にある原発本は読み終わったので、他の本を読み始めよう。