「アメリカに行ってエンジニアリングを学びたい中学生」を見て感じること


Twitter上で@cloooote君という中学生が暴れているのを見かけた。どうやらアメリカでエンジニアリングお学びたいらしい。日本にいるとシリコンバレーぐらいしかうまく回っているシステムがないように見えるせいか、最近のNHKを含めた日本のメディアにはシリコンバレーマンセー現象が蔓延っている。実際はシリコンバレーからの金が電通に渡りその結果日本の情報空間に影響を与えているわけだが、14歳の中学生にはそんなことまでは思いも至らないだろう。シリコンバレー側も日本からの金を必要としているという現状からも見えてくるものがあるはずだ。


14歳といえば(15歳だったかもしれないが)自分の人生においてもかなりの大きな舵を切った時期だった。あの時の決断がその後の自分の人生の方向を決めたといっても間違いではない。まぁいいや、自分の話を始めると長くなるから止めておこう。


この件に関してkiyoto君DanKogaiさんがブログに書いている。Blogosphereの言論空間に参入するつもりは毛頭ないのだがとりあえずblogに書くのが手っ取り早いので色々と感じたことを書いておこう。


kiyoto君は同じく14歳の時に親の都合でアメリカに来たらしく、英語で苦労しながらもスタ大で数学を勉強した後トレーダーになったが、その後どーゆー訳かシリコンバレーPHPの変ジニアになったらしい。しかもアメリカ人にまでなってしまったらしい。彼は日本人にとっては英語はとても難しいものだと思っているようで「それは人に依るんだよ」と言ってあげたいが、まぁ置いておこう。要するに彼はアメリカの良いところを並べて幼気な14歳の少年を自分の選んだ道へと引きずり込もうとしてる訳だ。まぁ、彼はアメリカ人になったときにアメリカに忠誠を誓った訳だからそうするのが合理的なんだろう。


一方、DanKogaiさんは学力、外交力、財力という現実的に必要になる力を挙げて、「君にこれらの力があるのか」と問いかけている。@cloooote君のTwitter上での振る舞いを見ていると自分の現状に対する焦燥感、日本の将来に対する危機感から自分が現在持っている力を度外視し、不確実な部分については楽観的に他人の力を当てにしてとにかく逃げ道を探しているようにしか見えないのでDanKogaiさんのアドバイスは非常に適切なものだと思う。DanKogaiさんは以下のような言葉で纏めている。

それは、他者の力を乞うには、自らも力を持たねばならないということ。

それは、他者から何かを得るには、自らも与えるものを持たねばならないということ。

要するにgive and takeということだ。自分がこのことを実社会で感じ、ある程度理解したのは10代の後半ぐらいだったと思うが、まだしっかりと身に付き実践できている訳ではない。アメリカではこの論理がかなり厳密な論理として社会の根幹に根付いているのでしっかりと適応するにはある程度の冷酷さも必要となる。優しさに包まれて育った日本人には抵抗があるところだろう。@cloooote君はDanKogaiさんのような人が自分の時間を使ってこのようなアドバイスをしてくれたことに感謝するところからまずは始めるべきだろう。


これで大体@cloooote君に関する話は完結するのだが、もう少しこの「アメリカ流give and take」という論理について考察してみたい。一般にgive and takeというとgiveの総和とtakeの総和が同じくらいになるようにしましょうねということだと思うが、ここで言う「アメリカ流のgive and take」はより弱者に厳しく傲慢で冷酷、自己中心的な論理である。簡単に言うと、全てのmoveにおいて自分にとって最適となる選択肢を忠実に選び、自分に有利になる選択肢が無い場合は動かないというものである。めんどくさいのでわざわざ例を出して説明することはしないが、これを皆が忠実に遂行すると全体が部分最適化される。要するに勝ち組と負け組ができて、放っておくとその差がどんどん拡大し最終的にはゲームが成り立たなくなり反乱が起きる。今世界で起こっているのはまさにこれで、システム全体がlocal minimaに嵌った結果random startを必要としている訳である。ただ、これを現実世界で行うのはなかなかの混乱や痛みが伴うので逡巡しているようにも見える。しかしアメリカが日本と違うのは問題を本気で解決する動きが内部から生まれてくることである。AnonymousやOWS等が良い例かもしれない。そういう意味でアメリカの将来についてはある程度楽観的に見ているが、実際どうなるかは分からないので2012年を注視していきたい。