「ゲーデル 不完全性定理」林晋、八杉満利子訳




苫米地理論の検証の一環として詳細を勉強し始めた不完全性定理の解説本。苫米地理論の説明では本書で指摘されている「数学=数学系」かという前提が欠けているなぁと思った。「数学=数学系」であれば数学は不完全であると言えるようだ。ただ、ゲーデル不完全性定理が数学の不完全性(人類の知の限界)を示すというのは一般的な見解なようなので、大きな問題ではないのかもしれない。


ゲーデル不完全性定理が示す重要なポイントは、「数学が内部矛盾していないならば数学には回答のない問題がある」ということで、「数学の正しさを確実な方法で保証することは不可能であり、それが正しいと信じるしかない」という、数学も宗教のようなものであるという点だろう。


しかし、本書でも指摘されている通り、ゲーデル不完全性定理にも関わらず、現実の数学は経験的に相当完全であるという点も重要であろう。