日垣隆 「世間のウソ」




先日のランチタイムに「有名になると逮捕されるからなりたくない」という話をしたら、この本を貸してくれた。
その時の話では、そんな小さな確率のリスクを恐れて自分の可能性を最大限発揮するのをためらうのはもったいないということを言われた。
ここで言う「小さな確率」というのが本書に書かれている宝くじの話のことなら「有名になると逮捕されるからなりたくない」という考えに対する回答としては説得力がある物ではないと思う。
なぜなら、「宝くじが当たるかどうか」という問題が純粋に確率的な事象である(仮に不正が行われていないとするなら)のに対して、「誰かを逮捕するかどうか」という問題は、色々な利害等を踏まえて警察なり検察という権力組織が極めて恣意的に判断する事象だからである。
このとき「有名になると逮捕されるからなりたくない」と言ったのは、強力な権力組織によって恣意的に逮捕されることによって被る被害を受けるのはまっぴらゴメンだという意味である。


同じランチタイム中の議論で、警察やマスコミの酷さの例として桶川女子大生ストーカー殺人事件の話をした。
桶川女子大生ストーカー殺人事件は自分にとって非常に衝撃的な事件で、殺された猪野詩織さんのことを考えるといてもたってもいられず、犯行現場のJR桶川駅前は何度か実際に訪れた。
この日も帰宅途中の電車の中で色々考えていたら涙ができて、帰宅後に車で桶川に直行した。
高くそびえ立つ桶川マインの姿を見ると事件を思い出して今でも胸が熱くなる。
以前も感じた感覚だがこの日も現場に近づくのが怖かった。
普段こんな恐怖のような感覚を覚えることはない。
当たり前に車が通ったり人が行き交ったりしているのが非常に悲しかった。
事件については以前読んだ以下の2冊が詳しく書いているので一応記録しておこう。






話を今回読んだ本に戻すと、本書は現実の世界で隠されている真実を非常によく説明しているというか、暴いていると思った。
著者の日垣さんがどんな人なのかが気になってググってみると、wikiの日垣さんに関するページ(wikiはURLに日本語が入っててうまくリンクが張れない…)が参考になった。
子供の頃に弟が学校で同級生に階段から突き落とされて殺されたが、少年法によって守られているため裁かれなかったと言う経験があるらしい。
日垣さんという人に非常に興味を持ったので、そのうち他の著書も読んでみたいと思う。