梅田望夫「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」



タイトルの通りこれまでのWeb1.0からこれからのWeb2.0への進化の話。もともとはブログで書かれていたものを文庫化したもの。著者の梅田さんはITコンサルタントのようなことをしている方で10年ほどシリコンバレーで暮らしているらしい。Amazonの本の売り上げのほぼ半分がロングテールの部分という話はこれを読んで初めて知った。ロングテールというのは、横軸に本のタイトルを左から売れている順に並べ、縦軸に売れた冊数、としてグラフを描いたときにできる右方向に永遠と伸びる恐竜の長い尾のような部分を指す。

一般の本屋さんでは、よく売れる恐竜の頭部分しか店頭に置けないがAmazonのようにWebを活用したビジネスモデルを採用することにより、今までは売ることのできなかったロングテールという新たなマーケットが創造された、ということである。しかもそれが今では売り上げの半分を占めていると言うわけである。Web2.0の話は要するに多くの少数の小さな力を合わせた大きな力をどう使うか、というような部分があると思う。これにはインターネットのまさに本質的な部分があると思う。良い例がWikipediaである。誰もが簡単に編集できる百貨辞典を作ったら、かなり質の高いものができたというわけである。Nature誌の調査によれば、科学技術分野におけるWikipediaとBritannicaの質は同程度という結果もあるそうだ。これは集合知の力の一つの証左と言える。同じような現象がソフトウェアの世界にもあり、これはオープンソースと呼ばれている。簡単に言えばソフトウェアの設計図とも言えるソースコードを公開して、誰もが編集できるようにしようと言うものである。オープンソースソフトウェアの代表的な成功例がLinuxである。そして、このLinuxを中心としたオープンソフトウェアを使ってWebの「あちら側」にデータセンターを構築し、「こちら側」の価格破壊現象をよそに圧倒的な勝利を収めているのがGoogleと言うわけである。