小室直樹 「ソビエト帝国の崩壊」



1980年に書かれた古い本だが小室直樹の貴重な著書ということでプレミアのついた値段を払って購入した。


物心がついた頃には資本主義がほぼ支配する世の中になっており社会主義の国家に対するリアリティはあまりなかったので、社会主義国家における特権階級やエリートの存在は資本主義国家におけるそれらとの違いが新鮮で興味深かった。資本主義国家で暮らしていると資本の絶対的な支配力やそれが引き起こす不平等に嫌気がさすことが多いが、社会主義国家では異なる力が支配し、また違った不平等を生み出すというのも興味深い。このような実態を知ると資本があれば基本的に何でもできる社会というのは資本があっても何もできない社会よりは便利かなと思う。


本書に興味を持った理由の一つにソ連崩壊と現在の日本の衰退を対比し理解したいということがあった。ソ連の特権階級と日本の既得権者には共通点を感じるし、ソ連の軍隊と日本の官僚機構というのも酷似しているように見える。本書で解説されているようにソ連の崩壊がスターリン批判に発する急性アノミーに依るものだとすれば、日本において同様のことが起こるためには天皇の権威の失墜ということが必要になるだろう。そう考えると現在の平成天皇から現在の皇太子に移行するタイミングというのがかなり重要になってくる。日本社会の現状がさらに悪化した数年後に現在の天皇の体調悪化によってそのときが来るのではないかと思うが、革命を起こすならなこのタイミングを狙うのが良いのではないかと思う。ただ、それには新たな日本という国家像・共同体の姿を描く必要があり、単なる思いつきではどうにもならないかなとも思うので色々考え中。天皇以外に日本国家・共同体の中心となれるものは何があるかなぁ。