佐藤優 「国家の自縛」



面白いので大量に読もうと計画中の佐藤優シリーズ。
ところどころに聞いたこともないすごい話が載っている。
外務省の裏話や明らかな外交不作為にはけっこう驚いた。
例えば、2004年の9月2日に当時の小泉総理が北方四島を視察した話。
実は9月2日というのは特別な日で、1945年の9月2日に東京湾ミズーリ艦上で日本が無条件降伏に署名している。
つまり、法律上は9月2日に第二次大戦が終わっているらしい。
さらにソ連ではスターリンがこの日に、ソ連が手に入れた樺太と千島列島、北方四島を二度と日本に返さないといった趣旨の反日演説を行ったらしい。
こんな日に視察を行うのだから、ソ連による法と秩序に反した歴史的な行為を内外にアピールすべきだったという指摘。
小泉さんはそんなこと知らなかったんだろうから明らかに外務省の不作為だろう。
創価学会公明党クレムリンの関係についてもけっこう驚いた。
本書を読んでロシアという国が少し分かった気がした。
他にも、朝青龍一族は実はモンゴルの共産政権時代の秘密警察と公安組織の人達だという話には驚いた。
日本はモンゴルにかばりのODAを援助しているのでそのモンゴルを北朝鮮外交において有効に使うべきという提案は印象に残った。
アメリカとの関係などを考えたときにイスラエルという国の外交上の重要性も強調されていたが、個人的にはイスラエルの横暴には好感が持てない。
まぁ、でも国益上大事だと言うことは分かった。
本書を読み終わって思うのは、こういった情報網を持っていて鋭い分析ができる人間を活かせない外務省や日本という国の情けなさ。
鈴木宗男騒動の時は佐藤優という人がどのような人間なのかは全く知らなかった。
あれだけ騒がれても鈴木宗男が当選するのには理由があることが分かった。
やっぱり、マスコミの言うことは信じちゃいけないと思った。